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この激安な人生~「凶悪」 - 2013.10.20 Sun

ハイ、やっとこちらで今日から公開されました。もう楽しみすぎて関連本も買って
準備は万端でしたが、肝心のパンフがまだ入荷してないっていうじゃあありませんかorz
ということで、参考資料に公式サイトの他、洋泉社刊「凶悪の世界事件史」と「映画秘宝」11月号を
引きつつお送りいたします、「凶悪」(2013)です。

ブログ&サイトをサボっているにもかかわらず、あたたかい拍手コメントもありがとうございました!
とてもうれしかったです!

「この事件は実話を元にしたフィクションです」と最初にテロップが出ます。
この話の元の事件、ノンフィクションの凶悪事件をよくルポしていた「新潮45」の記者が
書いた記事が発端となったのですが、当時のマスコミの騒ぎようはうっすら覚えています。
ま、つっても私みたいな殺人事件マニアぐらいしか興味を示さなかったワケですが、
それでもじゅうぶんに衝撃的でした。

前回書いた園子温監督の「冷たい熱帯魚」も実際の事件をモデルにしていますが、あの事件の
加害者も相当なインパクトがありました。それに負けず劣らず、「凶悪」のモデルとなった
加害者たちもかなりイカれています。


深夜、どこかの道路をひた走る一台の車。車内でチンピラの浅い彫り物にマーカーで落書きして
面白がる男、須藤純次(ピエール瀧)。両手を拘束された男は、須藤と舎弟の五十嵐(小林且弥)
に橋の欄干を歩かされる。そしてお約束通り、足を滑らせ川へ…
須藤はその後、舎弟にもチャカを向ける。車の遠景に走るマズルフラッシュ。
コレたぶん最初に北野武がやった表現だと思いますが、何かを予感させるにいいですね。

それから時間が前後して(舎弟が生きてたから、おそらくちょっと前の話)、須藤はまたまた
エグい放火殺人をやっていた。
この一連の行動から、須藤がとんでもなく凶暴で、人を殺すことをなんとも思ってないことが
わかります。ほんっとに軽ーく女に高濃度のシャ〇打って殺しちゃうし、生きてる人間に
灯油撒いて火点けちゃうし、顔色ひとつ変えずに鬼畜な所業のオンパレードで、最初っから
映画の世界に強引に持ってかれます。

この超コワい顔の須藤を演じたピエール瀧、最近では「あまちゃん」でこっそりジョジョ立ち
してたり、修造の前にファブリーズのCMでお父さん役やってたり、人のよさそうなオッサン
って感じだったんでびっくりしました。…いや、私もイイ年ですから、電気グルーヴは知ってますよ?
「ポンキッキーズ」とかにも出てたし、ホントはイイ人なんだろうなあ、とは思いますが、
ヤクザ映画常連俳優よりモノホン感バリバリでした!
あまりのコワさに勝手に「日本のレイ・リオッタ」と命名しました(笑)
ガタイの良さとか腹の出具合とか、たたずまいとか、すべてがリアルというか…
あ、あとライターの点け方がカッコ良かったな←あんまり関係ねえ

須藤は結局、この放火殺人が元で逮捕される。とりあえずわかってるだけで4人は殺してて、
死刑は免れそうにもなかった。
だが、須藤は恐ろしいことを告白しようとしていた。

出版社に勤める記者、藤井(山田孝之)。とある事件を追っていたが、デスクに「三か月前の事件なんて
誰も覚えてやしない」とサクッと却下され、刑務所からの手紙を渡し、「コイツの話を聞いてきて」と
言われ、しぶしぶ手紙を読み、面会に出かけた。
それはあの凶悪犯、須藤からの手紙だった。須藤は「自分は死刑も覚悟している。だが、どうしても
許せない奴がいる。ソイツがシャバでのうのうとしていることが許せない」と、自分と一緒に
恐ろしい犯行を行っていた人間のことを記事にしてほしい、と藤井に頼み込む。

はじめは気乗りしなかった藤井だったが、須藤の話に出てくる「先生」と呼ばれる男と、彼らの
行った悪魔の所業に興味を抱く。それほどに須藤の話は衝撃的だった。藤井は話のウラを取ろうと、
取材を始める。

須藤は「先生」と組んで、身寄りのない年寄りに多額の保険金を掛けて殺していたのだ。それも複数。
だが須藤の記憶は曖昧で、被害者の名前もろくに覚えていないし、死体を埋めた場所もうろ覚えだった。
もう人を殺し過ぎて、いちいち覚えてなかったんだろうなあ、と寒気がしました。それだけ殺人が
日常の一部と化してた奴の生活って、いったいどうなってんだろう、と考えるワケですが、
そんな我々に監督の白石和彌は、人の命の価値が激安な奴の人生の一部を見せてくれます。

物語も中盤近くなり、藤井がだんだん「先生」の実態に近づき、ようやく彼の事務所らしきところを
訪ねたところで、いよいよ「先生」こと木村(リリー・フランキー)の登場と相成ります。
藤井は取材によって事件を追体験しているワケですので、この回想シーンは、須藤の証言と
藤井の想像によるところだと描いている秀逸な表現があります。それは映画を見ていただいた方が
一発でわかりますので、機会がありましたらご覧になってみてください。


いやー、リリーくんの著作は一時メチャクチャハマって読んでて、映画イラスト・エッセイ「日本の
みなさんさようなら」なんて読み過ぎてボロボロになって、買いなおしたぐらいでした。
彼の文体は独特の味があって、あのカワイイ絵柄と毒舌のギャップがたまりませんでした。
あと、声フェチのワタクシにはたまんない、エエ声の持ち主で、「サウスパーク」のイエス・キリスト
役なんか忘れがたいですねえ。どうでもいいですが、「聖☆おにいさん」のイエスの声も彼に
やってほしかったです…

最近福山雅治が出てる映画に出て、いいお父さんの役やってるらしいですが、この作品の「先生」役は
まさに絶品です!日本の俳優に似たタイプがひとりもいない、ワンアンドオンリーな存在感でした。
一見ショボいオッサンなんですが、悪に魅せられた男の色気とも言うような、なんともいえない
魅力があるんですね。そして得体のしれない、底なしの悪意。老人ホームを眺めている彼の目は、
金の山を前にしてほくそ笑んでいる悪魔そのものでした。

いちばん壮絶なシーンは、酒飲みのジイさん(ジジ・ぶぅ)に無理やり酒飲まして殺して、保険金を
家族と山分けしようとするところですね。須藤と木村は人殺しにまったく抵抗がないので、娯楽の
一環としてゲラゲラ笑いながらジイさんに酒ガンガン飲ますワケです。思わず「俺の空・刑事編」の
酒しこたま飲まされてブンブン身体振り回されて、急性アル中で殺された初老の刑事を思い出しました。
なかなか死なないジイさんに業を煮やした木村が、ウォッカをビンごとジイさんの口に突っ込んでる時の
表情なんか、完全にイっちゃって(性的な意味で)ます。

ちなみに好きなシーンは、須藤の家族(!)と木村、それに舎弟たちでのクリスマスパーティーです。
ひじょうになごやかにワイワイやってるんですが、サンタのカッコした木村が、いきなり札束を
須藤に差し出して「ぶっこんでくれたお礼」とかしゃあしゃあと言い、須藤が「いや俺は
後始末しただけだから」とお礼を遠慮するんですよ!そのやりとりが異常に自然で、
「コイツらふだんもこんなやりとりしてんじゃねえの?」なんて思っちゃうぐらいでした(笑)
あ、ぶっこむっていうのは、須藤言うところの「焼却炉にぶっこむ→殺す」という意味だ、と解釈
してます。もしかしたら某関東地方の方言かもしれませんが…


藤井は取材を続けるうちに、この事件にのめりこんでいく。彼の家族は妻と認知症の母の二人だが、
世間体を気にする藤井は母を福祉施設に預けずに、妻(池脇千鶴)に世話を押し付けていた。
記者魂は立派かもしれないが、妻から観れば相当なクズ夫だった。毎晩妻の愚痴と必死の訴えを
ロクに聞きもせず、藤井は仕事も休んで取材を続ける。
観客&藤井の妻は、「もしかしたらいちばん“凶悪”になっているのは、藤井かもしれない」と思って
いたことでしょう。家に帰らず、無精ひげでコートもヨレ、それでも目だけがギラギラと執念に
満ち溢れている藤井の姿が凄惨です。
妻の「事件の取材が面白かったんでしょう?」というひとことがいろいろな意味を含んでて重いです。


藤井はダメもとで、事件の取材にダメ出ししていたデスクにレポートを見せる。
そして事態はついに動き出す……


いやー、まだまだ語りたいことが多すぎて大変なことになってますが、とにかく登場人物の
ほとんどがクズすぎてあきれます。
でもきっと、こんな激安な人生を送っている人間は、この国に少なくないんだろうなあ、と思います。
なんてエラそうに言えるほど、自分の人生は安くないかというと、んなことはないんですね…
日々の生活を送るのでいっぱいいっぱいで、物事を深く考えることを放棄してしまってる
自分に、少し頬をつねってくれる映画を観たような気がします。

ラストの方で、リリーくんが見せた迫真の演技、アレを観るだけでも価値があります!
私の中では今年度No.1の作品です!もう一回ぐらい観たいです!ソフト発売されたら買います!
一家に一枚ぐらいあってもいいぐらいの傑作ですので、これは皆様ぜひぜひ!
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「ケロロ軍曹」ギロロ×夏美の同人サイト運営中
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